鰹節

  • 自然の恵みと人の技が織りなす伝統食

    「鰹節」は、その前身である「堅魚(かたうお)」として調理方法が日本最古の文献「古事記」の記述にも登場するほど歴史深いものです。戦国時代には武士の大事な携帯食に用いられたといわれています。私達の祖先が改良を重ね育んできた鰹節は、日本独自の調味料であり、栄養価の高い保存食として、和食文化を支えてきた中心的な食材の一つといえます。

    鰹節は作り方の違いで大きく2種類に分けられます。生のかつおの身をさばき、煮熟した後、煙で燻して芯からまんべんなく1ヶ月ほど水分量が23%以下程度になるよう乾燥させた「荒節」。さらにここから、半年以上の歳月をかけてカビ付けと天日干しを幾度も繰り返し、発酵熟成によって旨みを凝縮させた「本枯節」があります。

  • いずれにしても、日本の加工食品の中でもっとも手間と時間をかけて製造されます。本枯節の水分量は15〜17%以下、叩き合わせると澄み切った高い音で響くのが良質な鰹節の証拠です。

    世界一硬い食品といわれている鰹節は、「削り節」にして料理に使います。薄削り、厚削り、糸削り、ソフト削り、削り粉…、だしやトッピングなど料理の用途に応じた様々な削り方があります。

    鰹節の最大の特徴は、旨味成分イノシン酸が豊富なこと。栄養価の高い食品としても知られ、良質なタンパク質をはじめ、9種類の必須アミノ酸、DHAやEPA、鉄分、ミネラル、ビタミンなど生活習慣病予防や老化防止に役立つ成分が多く含まれています。大人は勿論のこと、子供の食育にも役立つ理想的な食材です。

  • 鰹節の製造工程

    1.生切り

    頭を切り落とし、内臓や背びれを取り除く。その後、三枚におろす。
    小さなサイズのものはそのまま亀節に、大きなサイズのものはさらに合断して雄節と雌節の4本に分ける。

  • 鰹節の製造工程

    2.煮熟

    生切りしたかつおを煮籠に並べ、煮釜で数時間かけて煮熟する。
    この煮熟により、タンパク質を完全に凝固させることで、うまみのつまった鰹節ができる。

  • 鰹節の製造工程

    3.骨抜き

    骨、皮などを手作業で取り除く。

  • 鰹節の製造工程

    4.焙乾

    樫、楢などの堅木を燃やし、かつおの身を煙で燻す。大きさにより焙乾と水分を身の外に出すあん蒸を6〜15回程(2週間〜1ヶ月)繰り返し、中心部まで均等に水分量23%以下程度に乾燥させた「荒節」が完成。

  • 鰹節の製造工程

    5.カビ付け、天日干し、熟成

    荒節表面のタールと脂肪を削り、形を整えた「裸節」。これを半年程の歳月をかけてカビ付けと天日干しを幾度も繰り返し、水分量を17%以下に乾燥させた「本枯節」。さらに時々日にあてながら、常温で発酵熟成させることによって旨みを凝縮させた味わい深い鰹節となっていく。

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